賃貸の壁に穴あけをする場合、どれくらいの大きさまでOK?
賃貸物件にお住まいの方で「壁に穴をあけても大丈夫かな?」と不安に思ったことはありませんか?
カレンダーや時計を掛けたい、ポスターを貼りたいなど、日常生活でちょっとした穴あけが必要になる場面は意外と多いものです。
この記事では、神戸エリアの賃貸紹介を行う「OGAココヤル不動産」の担当者がプロの視点から、賃貸物件の壁に穴あけをする際の許容範囲や注意点を詳しく解説します。退去時のトラブルを避けるために、ぜひ最後までお読みください。
賃貸物件における壁の穴あけの基本ルール
賃貸物件の壁に穴をあけることについては、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が一つの基準となります。このガイドラインは2024年にも再改定され、より明確な指針が示されています。
ガイドラインには法的拘束力がなく、あくまで目安です。最終的には賃貸借契約書の内容が最優先されますので、入居前に必ず確認しましょう。
原状回復義務とは
賃貸物件を退去する際、借主には「原状回復義務」があります。これは民法にも規定されている法律上の義務で、物件を借りたときの状態に戻す責任を指します。ただし、通常の使用による経年劣化や自然損耗については借主の負担にはなりません。
穴のサイズ別:OK・NGの判断基準
壁の穴あけについては、穴のサイズや深さによって原状回復費用の負担が変わってきます。以下、穴の大きさ別に詳しく見ていきましょう。
画鋲・ピンの穴(直径数ミリ程度)
| 穴のタイプ | サイズ目安 | 原状回復義務 |
|---|---|---|
| 画鋲の穴 | 直径1〜2mm程度 | 原則として不要 |
| ピンの穴 | 直径1〜3mm程度 | 原則として不要 |
国土交通省のガイドラインによると、画鋲やピン程度の小さな穴は「通常損耗」に該当し、修繕費の請求対象外とされています。ポスターやカレンダーを飾るために使用した数ミリ程度の穴であれば、退去時に修繕費を請求される心配はほとんどありません。
ただし、注意すべき点もあります。
- 穴の数が極端に多い場合(数十個以上など)
- 穴が広がっている場合
- 壁紙が破れている場合
これらのケースでは、通常使用の範囲を超えると判断され、修繕費用が発生する可能性があります。
ネジ・釘の穴(直径5mm以上)
ネジや釘を使用した場合の穴は、通常使用の範囲を超えると判断されることが一般的です。これらの穴は画鋲と比べて大きく深いため、下地ボードの張り替えが必要になることもあります。
| 穴のタイプ | 特徴 | 修繕費用の目安 |
|---|---|---|
| ネジ穴 | 深さがあり、下地まで達する | 2万円〜4万円 |
| 釘穴 | 比較的深く、補修が必要 | 2万円〜4万円 |
ネジや釘を使って棚やフックを取り付けた場合、退去時に補修費用を請求される可能性が高くなります。壁紙の張り替えだけでなく、下地の補修が必要な場合は費用も高額になります。
大きな穴(直径20cm以上)
故意に開けた大きな穴や、複数の大きな穴がある場合は、明確に原状回復義務が生じます。修繕費用は5万円〜10万円以上になることもあり、敷金からの相殺では足りず、追加で実費請求されるケースも少なくありません。
例外的に許可される穴あけのケース
基本的にネジや釘の使用は避けるべきですが、以下のようなケースでは例外的に原状回復義務が免除されることがあります。
エアコン設置用の穴あけ
エアコンの設置に伴う穴あけには、主に2種類あります。
- 配管用の貫通穴(スリーブ穴):壁に直径6〜7cm程度の穴を開けて、室内機と室外機をつなぐ配管を通します
- 室内機固定用のビス穴:エアコン本体を壁に固定するための数カ所の小さなビス穴
エアコンが設備として備え付けられている物件では、これらの穴は通常損耗として扱われ、借主の負担にはなりません。しかし、借主が自分で新たにエアコンを設置するために穴をあけた場合は、状況によって対応が異なります。
エアコン設置に関する穴あけの判断基準は以下の通りです。
| ケース | 原状回復義務 | 注意点 |
|---|---|---|
| 備え付けエアコンのビス穴 | 不要 | 設備の使用に伴う通常損耗 |
| 事前許可を得て設置 | ケースバイケース | 契約書の特約による |
| 無断で穴あけして設置 | 必要 | 穴の補修費用を請求される |
エアコンを自分で設置したい場合は、必ず事前に管理会社やオーナーに相談し、書面で許可を得ておくことが重要です。無断で穴をあけると、退去時に貫通穴の補修費用として数万円を請求される可能性があります。
その他の許可される穴あけ
- 契約書で明確に許可されている穴あけ:事前に管理会社やオーナーの許可を得ている場合
- 軽量物を支えるための小さなフック穴:耐荷重が軽く、穴も小さい場合
- 既存の穴を利用したビス穴:前の入居者が開けた穴を再利用する場合
どうしても棚や時計を壁に取り付けたい場合は、入居前または入居直後に管理会社に相談することをおすすめします。事前に許可を得ておくことで、退去時のトラブルを避けることができます。
賃貸契約書で確認すべきポイント
前述の通り、国土交通省のガイドラインには法的拘束力がなく、実際には賃貸借契約書の内容が最も強い効力を持ちます。以下の点を必ず確認しましょう。
- 壁の穴あけに関する具体的な記載があるか
- 画鋲やピンの使用が禁止されていないか
- エアコン設置に関する規定(許可の要否、穴あけの可否など)
- 原状回復費用の負担範囲について明記されているか
- 特約事項として「すべての穴は借主負担」と記載されていないか
特に、契約書に「いかなる穴も借主が修繕費用を負担する」という特約がある場合、画鋲の小さな穴でも費用請求される可能性があります。入居前に契約内容を十分に確認し、不明点は必ず質問しましょう。
壁に穴をあけない便利なアイテム
退去時のトラブルを避けるため、壁に穴をあけずに物を飾る方法もあります。最近では便利なアイテムが数多く販売されています。
おすすめの代替アイテム
| アイテム名 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| はがせる粘着フック | 壁に貼って使用、跡が残りにくい | 軽量物(500g以下) |
| 突っ張り棒 | 壁を傷つけない | カーテンや収納棚 |
| ホッチキス式フック | 針穴が小さく目立たない | カレンダーやポスター |
| マスキングテープ+両面テープ | 壁紙保護になる | 軽いポスターや写真 |
これらのアイテムを活用すれば、壁を傷つけることなく快適な生活空間を作ることができます。ホームセンターや100円ショップでも手軽に購入できるので、ぜひ試してみてください。
もし壁に穴をあけてしまったら
誤って大きな穴をあけてしまった場合や、ネジ穴が気になる場合の対処法をご紹介します。
自分で補修する方法
- 補修材を購入する:ホームセンターで壁穴補修キットが販売されています
- 穴を埋める:パテや補修材で穴を塞ぎます
- 乾燥させる:しっかりと乾燥させることが重要です
- やすりで平らにする:表面を滑らかに整えます
- 壁紙の色に合わせて塗装する:目立たないように仕上げます
自己判断で補修すると、かえって目立ってしまい、修繕費用が高額になる場合があります。大きな穴や複数の穴がある場合は、必ず管理会社に相談しましょう。
火災保険の活用
賃貸物件の火災保険に「借家人賠償責任保険」が付帯している場合、壁の穴の修繕費用がカバーされることがあります。保険の適用条件を確認し、必要に応じて保険会社に連絡しましょう。
まとめ:賃貸の穴あけは慎重に判断を
賃貸物件の壁への穴あけについて、重要なポイントをまとめます。
- 画鋲やピンの小さな穴(数ミリ程度)は通常損耗として扱われ、原則として修繕費用は不要
- ネジや釘の穴は通常使用の範囲を超えるとみなされ、修繕費用が発生する可能性が高い
- 直径20cm以上の大きな穴は明確に原状回復義務の対象となり、5万円以上の費用がかかることもある
- エアコン設置の穴あけは事前許可が必須。備え付けエアコンのビス穴は通常損耗として扱われる
- 国土交通省のガイドラインは目安であり、実際には賃貸借契約書の内容が優先される
- 壁に穴をあけずに使える便利アイテムを活用することで、トラブルを未然に防げる
賃貸物件での生活を快適にするためには、壁の使い方についてもルールを守ることが大切です。入居前に契約書をしっかり確認し、不明点は管理会社に相談しましょう。OGAココヤル不動産では、神戸エリアの賃貸物件探しから入居後のサポートまで、お客様の快適な住まい探しをお手伝いしています。賃貸物件に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
出典:
・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2024年再改定版)
・東京都住宅政策本部「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(2025年2月更新)

